官能評価
官能評価は人の感覚を利用して対象物を評価する検査で、その結果は言語で表現されます。官能という言葉から、科学的な根拠を疑う人もいますが、現段階では数値化できない香りの違いを判断するための優れた有効な方法です。香りの官能評価は統計的に判定されます。
官能評価は、香料をそのままか、あるいはアルコールなどの溶剤で希釈して、直接嗅いだり、におい紙(脱臭処理した幅8mm、長さ15cmの特殊なろ紙。検査紙ともいう)の先にしみこませてにおいを嗅いで評価します。フレグランスの場合は、最終的には実際に付香した製品で官能評価が行われます。フレーバーでは鼻からの吸引だけでなく、舌や口内粘膜に与える感覚、口腔から鼻腔へ抜けるにおいも評価の対象になります。またフレーバーの官能評価では、付香する食品の多岐にわたる成分内容、形態、性質も評価を決める重要な要素になるので、純水などを基材にしたテストに加えて、実際に付香対象となる食品で官能評価が行なわれます。
香りを評価する言葉は特殊用語ではなく、一般によく知られた事象になぞらえた用語を使いながら共通のイメージを一致させます。しかし、一人一人異なる感覚を言葉で表現するので、100%的確に伝えることは不可能です。官能評価では客観的な根拠を持たせるために、統計的な手法を取り入れるなどの工夫がなされています。
統計的官能評価には、2点嗜好試験法、3点識別試験法、1:2点試験法、順位法、格づけ(スコアリング)法などがあり、目的に応じてそれぞれの方法の採用が決められます。
官能評価と評価用語
フレーバリストという香りを創る専門家は、フレーバー全体の輪郭を表現する20~30の共通形容詞を組み合わせてフレーバプロフィールと呼ばれる概念で表現します。このほか、軽さ、華やかさ、広がり、マイルド、インパクト、ソフト、まろやか、やわらかい、シャープ、粗い、刺激的、ラフ、コクのある、濃厚感、うすい、水っぽい、フレッシュ、グリーン、みずみずしい、ジューシー、サワー、甘さのある、ビター、熟成感、発酵感、フローラル、油っぽいなど、五感のすべてを駆使して香りを表現しています。