シソ、ウメボシ、エゴマ

シソを取り上げたのは、後で触れますがペリラアルデヒドという特徴的な香気成分があるためです。「大葉」と呼ばれる青ジソが一般的です。シソ科シソ属の1年草。抗ヒスタミン成分が多く含まれています。アトピー性皮膚炎に効果があることが確認されています。収穫量は平成18年では、施設、露地あわせて11,081t。都道府県別では愛知県が同じく3,674t、茨城県が1074t、以下、愛媛県(826t)、静岡県(595t)、大分県(560t)、福島県(525t)と続きます。
「ウメボシ」、日本人にこれほどなじみのあるものはないでしょう。ウメボシは、梅果実を塩漬けにした後、日干しにしたもので、クエン酸含量が多く酸味が非常に強い漬物です。ウメボシが赤くなるのは赤ジソのアントシアニンが、梅の酸味と化学反応を起こして鮮やかな赤み色に染まるためです。生産量は、食品産業総合動態調査資料によると平成20年で、梅干・梅漬あわせた数値で46,127tでした。
エゴマ(荏胡麻)もシソ科シソ属の1年草ですが、シソとは全く異なる香気を有しています。名前からゴマと間違いそうですが、ゴマ並みに含油量が多く、種子から荏油(エノユ)を得て、もっぱら灯油として利用されていました。江戸期になると菜種油などにとってかわられました。近年、アルファ・リノレン酸含量が多い油として脚光を浴びつつあります。シソ油と称して販売されている油がありますがエゴマ油がシソ油という名で扱われていることが多いようです。

伝統食、伝統文化・風習

【紫蘇】七味唐辛子、紫蘇焼酎、紫蘇ドリンク、福神漬け、紫蘇巻き、青紫蘇ドレッシング、紫蘇酢
【梅干】干し梅(菓子)、梅干あんぱん
【荏胡麻】エゴマ油、じゅうねんうどん、じゅうねん味噌、じゅうねん餅

シソ

シソ

◎青ジソの産地
愛知県は、大葉の生産が全国一を誇っています。
http://www.pref.aichi.jp/
engei/aichisan/vegetables/05perilla.html

赤ジソ

◎シソの特徴
「つま」として日本料理を引き立てる名バイプレーヤーです。青ジソ(大葉)や赤ジソは何といっても色鮮やかです。まさに眼で食べる日本食の真骨頂といえるかもしれません。赤ジソは、梅干などの色づけに使うほか、葉を乾燥させて香辛料の七味唐辛子に配合されることもあります。青ジソは魚の臭みを抑える効果があり、魚の紫蘇巻きなどによく利用されます。また、防腐・殺菌効果もあり、刺身のつまとしてよく使用されます。その爽やかな香りから、ドレッシングやドリンクに応用されています。

ペリラアルデヒド

◎シソの香気成分
石塚らによれば、青ジソ精油の重要な香気成分として16種をあげている。perillaldehyde、linalool、shisoolが改めて確認されたとし、さらに最も重要な香気成分のひとつとして(E)-2-Methyl-6-methylene-2,7-octadienalをあげている。

ウメボシ

ウメボシ

◎ウメボシの産地

◎ウメボシの特徴
梅干は見ただけで生唾がわいてきて、食欲を刺激するのはなぜでしょう。これほどご飯に合うものもありません。香りと酸味塩味が脳へ刷り込まれ、分泌を促していると思われます。調味梅干と表記される、しそ梅・昆布梅・かつお梅・はちみつ梅など、日本人は梅干好きと思いませんか。

◎ウメボシの香気成分
石田らは、完熟果実とそれを加工した梅干の水蒸気蒸留による精油の比較を行っている。梅干は酢酸が量的に多くその他Benzaldehyde、Benzyl alcoholをあげている。一方、中原らはヘッドスペース法によるトップノートの香気成分を分析し19物質を重要成分とした。酪酸、β-ionone、酢酸がトップノートの特徴的な香りに関与し、1-octen-3-olとvitispiraneもまた重要な役割を果たしているとしている。

エゴマ

エゴマ

◎エゴマの産地
日本エゴマの会調べによる2006年の全国エゴマ栽培面積トップスリーは、1位が福島県、2位が宮城県、3位が岩手県となっています。

エゴマ栽培|みんなの農業広場:
http://www.jeinou.com/benri/others
/2008/11/120900.html

◎エゴマの特徴
エゴマは種から搾油する目的の利用が多かったのですが、近年、健康志向の高まりから見直され、各地で栽培が広まってきました。それとともに調理法もいろいろ工夫がなされさまざまな利用が行われているようです。

◎エゴマの香気成分
シソの精油は、主たる成分で型に分けることができるそうです。モノテルペン系ですと7タイプあります。
エゴマは型で分けると、PP(phenylpropanoid)型、PL(perillene)型、PK(perillaketone)型などが含まれ、PK型の場合、egomaketone、perillaketone、isoegomaketoneが成分として得られるようです。
なお、上記の紫蘇はPA型(Perillaldehyde)となっています。

ペリラケトン

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