香料の分析と評価方法|日本香料工業会 - Japan Flavor and Fragrance Materials Association -

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香料の分析と評価方法ANALYSIS & EVALUATION METHOD

ANALYSIS香料の分析

香料の分析01

ブドウを原料とする食物の香りには、みずみずしい生果の香り以外に、搾汁した果汁の香りや微生物や酵素によって発酵したワインの香り、そして砂糖を加えて加熱濃縮したジャムの香りなどがあります。もぎたての新鮮なブドウの香りには、果実内で生合成されたエステル類を中心にした300近くの成分があります。
巨峰やマスカットなどの品種による香りの違いは、含まれている香気成分のバランスの違いによるものです。

香料の分析02

しかし、化学的刺激である香りを感知・識別する嗅覚のメカニズムが十分に解明されていないこともあり、光や音が数値化できるのに対し、香りは数値化することはできません。揮発性の有機化合物として存在する香り物質は、ガスクロマトグラフィーと呼ばれる気体成分分析装置によって科学的に成分とその濃度が確かめられます。
また嗜好性などは人間が鼻や舌を使って判断する官能試験によって判断されています。

ガスクロマトグラフィー

揮発性であるという特性を持つ香り物質は、いろいろな化学構造を持つ有機化合物です。香料がどのような有機化合物からできているかを分析するにはガスクロマトグラフィーがよく用いられます。ガスクロマトグラフィーは、有機化合物である香り物質の吸着剤に対する吸着度の違いを利用して、各々の成分を分離し、どのような香り成分が含まれているのかを調べ(定性分析)、その量を測定する(定量分析)ことができます。 この装置が1952年に開発されて以降、香り物質のなかにどのような成分が含まれているのかを迅速に科学的に分析できるようになり、合成香料の開発は大きく進展しました。

EXAMPLE分析例の紹介

さまざまなものに香りがあり、それぞれの香りには、その香りを構成する化学物質成分は異なっています。また、量的なバランスが違ってきますと、香りの印象(質)も違ってきます。例えば調合香料中などである成分が極端に多く配合された場合、バランスが悪くなり異臭/悪臭となって感じるようになります。このように天然にある香りを分析することは、その中に構成される化学物質の質と量およびそのバランスを知ることになります。
このことは、天然を模倣する香料では、いかに強調しようにも、その構成成分の使用量が天然から逸脱して使用されることがないと知れるわけです。 さて、それぞれの香りには、どのような化学物質成分で構成されているのでしょうか。また量的なバランスはどうなっているのでしょうか。実際に分析が行われた結果がいろいろなサイトに公表されています。いくつかのサイトを任意に選び出しました。また、生活空間で遭遇する原因臭を究明したサイトもありますので、香り・ニオイの分析の醍醐味を味わってください。

SENSUALITY官能評価

フレーバーの目的

官能評価は人の感覚を利用して対象物を評価する検査で、その結果は言語で表現されます。官能という言葉から、科学的な根拠を疑う人もいますが、現段階では数値化できない香りの違いを判断するための優れた有効な方法です。香りの官能評価は統計的に判定されます。
香りを評価する言葉は特殊用語ではなく、一般によく知られた事象になぞらえた用語を使いながら共通のイメージを一致させます。しかし、一人一人異なる感覚を言葉で表現するので、100%的確に伝えることは不可能です。官能評価では客観的な根拠を持たせるために、統計的な手法を取り入れるなどの工夫がなされています。

官能評価のやり方

  • そのまま

    香料をそのまま

    香料をそのまま嗅ぎます

  • 希釈

    アルコールなどで希釈

    アルコールなどの溶剤で希釈して、直接嗅ぎます。

  • におい紙

    におい紙

    におい紙(脱臭処理した幅8mm、長さ15cmの特殊なろ紙。検査紙ともいう)の先にしみこませてにおいを嗅いで評価します。

フレグランスの場合

最終的には実際に付香した製品で官能評価が行われます。フレーバーでは鼻からの吸引だけでなく、舌や口内粘膜に与える感覚、口腔から鼻腔へ抜けるにおいも評価の対象になります。

フレーバーの場合

付香する食品の多岐にわたる成分内容、形態、性質も評価を決める重要な要素になるので、純水などを基材にしたテストに加えて、実際に付香対象となる食品で官能評価が行なわれます。

統計的官能評価

2点嗜好試験法、3点識別試験法、1:2点試験法、順位法、格づけ(スコアリング)法などがあり、目的に応じてそれぞれの方法の採用が決められます。

EVALUATION官能評価と評価用語

フレーバリストという香りを創る専門家は、フレーバー全体の輪郭を表現する20~30の共通形容詞を組み合わせてフレーバプロフィールと呼ばれる概念で表現します。このほか、軽さ、華やかさ、広がり、マイルド、インパクト、ソフト、まろやか、やわらかい、シャープ、粗い、刺激的、ラフ、コクのある、濃厚感、うすい、水っぽい、フレッシュ、グリーン、みずみずしい、ジューシー、サワー、甘さのある、ビター、熟成感、発酵感、フローラル、油っぽいなど、五感のすべてを駆使して香りを表現しています。