香料の製造と調合PRODUCTION
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PRODUCTION香料の製造
天然香料の原料となる果実、花、蕾(つぼみ)、樹木、樹皮、枝、葉、茎、根などの部位と産地および製法(抽出、蒸留、圧搾等)の組み合わせから実に多様多種なものが製造されています。
例えば、オレンジを原料にした香料の場合、品種や産地だけでなく、果実、花、葉・小枝などの使用する部位によって、さらには、抽出法、蒸留法、圧搾法などの製造方法の違いからそれぞれ違った香料の生成物が作られます。
合成香料は、産地や気象状況によって香りやコストが異なる天然香料に比べて品質のばらつきがなく、大量生産で安価で安定した供給ができます。合成香料の出現で、それまで上流階級に限られていた香水やオーデコロンを市民が日常的に楽しむことができるようになりました。
しかし、人間のもっとも敏感な感覚に訴える香料は、香りの微妙なニュアンスと厳しい品質管理とが求められます。このため、酸化・還元・縮合・転位・エステル化などの化学反応を利用する香料の製造は、医薬品と同じ方式が採用され、精製には細心の注意が払われ、必要に応じて熟成という工程をとることがあります。
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香料の生産から最終製品までのプロセス
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オレンジから製造されるさまざまな天然香料
PRODUCTION調合香料
単品香料をそのまま香料として利用することはほとんどなく、複数の素材を使って目的に合わせた嗜好性の高い香料に仕上げます。
この作業を調合といい、この工程を経てできた香料を調合香料といいます。
FLOW.01素材選び
まずは、素材を選びます。
FLOW.02単位(ボディ)創り
素材を求められている香りにベストマッチするように配合して香料の骨格となる単位(ボディ)をつくります。
FLOW.03調和剤(ブレンダー)を調合
ボディによくマッチする調和剤(ブレンダー)を
選んで加えます。
FLOW.04骨組み創り
調子を整えるための変調剤(モディファイヤー)や微妙なニュアンスを表現するための補助剤(アジュバント)を加えて、香りの立体的な骨組みを創り出します。
FLOW.05香料の基本型(香料ベース)完成
骨組みを与えられた配合物に、香りの揮発性や残り具合を調節するための保留剤などを加えると香料の基本型(香料ベース)が出来上がります
FLOW.06調整・出荷
香料ベースはさらに、それぞれの製品が要求する香りになるように調整され製剤化されて出荷されます。
フレーバーの場合
フレーバーの場合は鼻からかいだ香りだけでなく、口の中に入れたときに舌や粘膜に与える感覚、あるいは口腔から鼻に抜けるときの香りなども重要ですから、必ず口中でのテストも行ないます。
におい紙(香りのテスト紙)につけた香料をかぐのが基本的なものですが、水に溶かしたり、少量の砂糖を入れた牛乳に溶かしたり、香りをつける食品のモデルに近いかたちで行なうこともあります。
そして、実際に食品に香りをつけるためには、こうしたさまざまなテストの結果絞りこまれた香料を使って試作品を作ってみます。
できあがった試作品は、何人かのパネラーの試食テストにより香味を判定され、さらにさまざまな保存試験にかけられ、香料の安定性や嗜好性も十分にチェックされます。