- どうして香料(こうりょう)がひつようなんだろう。
↓ - 香料のひつようなお客(きゃく)さんからつくってくださいといういらいがでる。
↓ - いらい内容(ないよう)をチョウコウシ(調香師)に伝える。
↓ - チョウコウシが香料のショホウを考え香料をつくってみる。
↓ - つくった香料をためしにフコウ(においをつけること)してみる。
↓ - できたフコウヒンのニオイをかいだり食(た)べたり飲(の)んだり使(つか)ってみたりヒョウカする。
↓ - つくった香料のいろいろなしけんをおこなう。
↓ - お客さんが満足(まんぞく)できるようなものができるまで4~7をくりかえす。
↓ - いらい内容にあった良(よ)い香料ができたらていしゅつする。
↓ - お客さんのヒョウカをきく。
↓ - 2~9をくりかえす。
↓ - お客さんがヒョウカ、シケンをしてさいようがきまる。
↓ - 原料(げんりょう)のチェックをしてショホウを工場(こうじょう)につたえる。
↓ - 工場でショホウにしたがってさくせいする。
↓ - できあがったもののひんしつのチェックをおこないしゅっかする。
1:どうして香料がひつようなんだろう。
一つ:
プ~ンとおいしいニオイがしたら、おなかがすいてなくても気(き)になるだろう。なぜかな? それは、その食べ物(もの)を食べた時(とき)に、おいしかったという感(かん)じといっしょに、そのニオイをしらずしらずにおぼえているからなんだ。それでからだがはんのうするんだ。
二つ:
いま、スーパーマーケットにある食品(しょくひん)うりばにはどんなものがある。肉(にく)や野菜(やさい)いがいにもたくさんあるよね。加工(かこう)食品とよばれているものが袋(ふくろ)や箱(はこ)にはいっているだろう。そういったものに香料(こうりょう)ってかいてないかい。どうしてはいっているんだろう? 加工食品ができるまでには火(ひ)をつかったりして原料(げんりょう)のおいしい香(かお)りがとんだりちがったものになったりしてしまうことがよくあるんだ。それをなおしたり、おいしそうにかんじさせたりするために香料をつかっているんだ。
三つ:
コーラやガムは人間(にんげん)がかんがえだした食べ物(たべもの)なんだ。香料(こうりょう)をうまくつかった食べ物をかんがえだしたんだな。
四つ:
ママやお姉(ねえ)ちゃんの口紅(くちべに)においしそうなニオイがしてないかい。口紅は色素(しきそ)とロウなんかでできているんだ。むかし、ロウはいやなニオイがしていたんだ。そのニオイをかくすために香料(こうりょう)をつかったりしたんだ。また、香料をつかうともっとみりょくてきなしょうひんになることもあるんだ。
2:香料(こうりょう)のひつようなお客(きゃく)さんからつくってくださいといういらいがでる。
香料がひつようなことはわかったね。じゃあ、香料がいしゃにとって「香料のひつようなお客さん」ってだれだろう?
- <食べ物(たべもの)のばあい>
-
・お菓子(かし)をつくっているかいしゃ:ガムやチョコレートやドロップやビスケットなど
-
・飲料(いんりょう)をつくっているかいしゃ:ジュースやコーヒーや乳(にゅう)飲料など
-
・冷菓(れいか)をつくっているかいしゃ:みんなの好(す)きなアイスクリームなど
-
・インスタントラーメンをつくっているかいしゃ:つゆにつかわれているんだ。
- <口(くち)にはいらない生活(せいかつ)のまわりにあるもののばあい>
-
・化粧品(けしょうひん)をつくっているかいしゃ:化粧品(けしょう)や歯(は)みがきなど
-
・石鹸(せっけん)・洗剤(せんざい)をつくっているかいしゃ
-
・芳香剤(ほうこうざい)やお線香(せんこう)をつくっているかいしゃ
-
・気がつかないけどまだまだあるよ
- <そのほか>
-
・タバコ
・都市(とし)ガス、プロパンガス
お客(きゃく)さんは、良い香料(こうりょう)がほしいからいくつかの香料がいしゃにいらいをすることもあるんだ。
お客さんは、「こんどこんな商品(しょうひん)をつくったのでこれにあうこんなふうなかんじの香料をください」といういらいをすることがおおいんだ。香料会社はお客さんのいったことばをニオイにつくりあげていくんだね。
3:いらい内容(ないよう)をチョウコウシ(調香師)につたえる。
お客(きゃく)さんのきぼう・ちゅうもんをきいてきたひと(えいぎょう)が、こんどはかいしゃにかえってニオイをかんがえ・つくるひとにお客さんの話(はなし)をただしくつたえるんだ。
ここで、たいへんむずかしい話がでてきます。ニオイを言葉(ことば)でただしくつたえることがどんなにむずかしいことかわかるかい。人それぞれ、あるニオイをかいだときのかんじかた(おもいえがくイメージ)はおなじとはいえないんだ。
たとえば、「イチゴ」といったときにどんなニオイがおもいうかぶかな?
- じゅくしていないわかいイチゴの青(あお)くさいニオイ
- イチゴジャムみたいなきょうれつなベタベタした甘(あま)いにおい
- ツンツンしたあますっぱいイチゴのニオイ
いろいろかんじたものがあるよね。そのお客さんが本当(ほんとう)にほしいというイチゴのニオイを、お客さんが伝えられなければいけないし、お客さんの話をきいたえいぎょうさんが正しくニオイを作る人に伝えられなければいけないんだ。
ニオイをかんがえ・つくる人のことを、食べ物の香料(こうりょう)をつくる人をフレーバーリストといい、けしょうひんのような香料をつくる人をパーヒューマーというんだ。
まとめると、したの表(ひょう)のようになります。
チョウコウシ(調香師) | フレーバーリスト | たべものの香料をつくる人 |
---|---|---|
パーヒューマー | けしょうひんのような香料をつくる人 |
4:チョウコウシが香料(こうりょう)のショホウをかんがえ香料をつくってみる。
食べ物(たべもの)の香料(こうりょう)のばあい、つくるものがしぜんにあるものをまねしてつくることになるよね。しぜんにある食べ物のニオイは、どんなものが入っているかほとんどわかっているからつくるのはそんなにむずかしくないんだ。ただ、商売(しょうばい)だから安(やす)くつくらなければならないし、きょうそう相手(あいて)もいるのでお客さんやさいしゅう製品(せいひん)をかう人にすかれるニオイをつくることが大事(だいじ)なんだ。
けしょうひんの香料のばあい、つくるニオイはきまっていない。しこう性(せい)といって、この商品(しょうひん)がどうしてもほしい、もう一度(いちど)かいたいとおもわせるような特長(とくちょう)のあるニオイをつくることが大事なんだ。
香料は、いろいろなものをまぜてできあがっているんだ。まぜたものを何度(なんど)でもつくれるようにするためにショホウ(処方)というものを調香師(ちょうこうし)は書(か)くんだ。まぜたものの名前(なまえ)と入れた数(すう)りょうを書くんだ。
食べ物の香料のばあい、まぜるものは法律(ほうりつ)できめられているんだ。食品(しょくひん)えいせい法(ほう)というんだ。えらい先生(せんせい)がたが、この香料はつかってもだいじょうぶかどうかいろいろかんがえてくれるんだ。そして、つかってもよいとみんながかんがえたら、つかってもいいよということをこくみんにしらせてつかえるようになるんだ。だから、安心(あんしん)して香料をつかえるね。
けしょうひんの香料のばあい、安全(あんぜん)な香料をつかうようなしくみができているんだ。リフムというところがつかってもだいじょうぶかどうかいろいろシケンをするんだ。それがわかるとイフラというところにこれはつかってはだめ、これはここまではつかってもだいじょうぶということをつたえる。イフラは世界(せかい)にそのことをつたえるんだ。調香師(ちょうこうし)はそのことをよくわかっているから安全な香料をつくっているんだ。
5:つくった香料(こうりょう)をためしにフコウしてみる。
さいしょにつくったニオイがとてもよいニオイがしてもだめなんだ。香料(こうりょう)は、スーパーやコンビニでうっている「飲み物(のみもの)」や「ガム」や、「口紅(くちべに)」や「シャンプー」といった製品(せいひん)に使用(しよう)されてはじめて香料といえるんだ。だから、できた香料を香料がまだつかわれていない製品の生地(きじ)[香料がまだつかわれていないときのもの]につけてみる。これを、フコウ(付香)というんだ。
付香(ふこう)してみて、ニオイがつよいか、立(た)っている(ニオイがきもちよくかんじられ、へんなニオイがしないでいること)かみるんだ。つよいものがえらばれることが多いよ。
生地(きじ)にどくとくのニオイがあるばあいは、香料が上手(じょうず)にそのニオイをかくしているかみることもあるよ。
6:できたフコウヒンをニオイをかいだり食(た)べたり飲(の)んだりつかってみたりヒョウカする。
良いと思った香料(こうりょう)をあつめて、それぞれフコウしてフコウヒンをつくる。それをいっせいにならべてどれが一番(いちばん)よいかつよいかヒョウカ(評価)する。
ビンに入れられる製品(せいひん)なら、ビンコウ試験(しけん)といってビンに鼻(はな)をちかづけてかいでみるんだ。つよさやよさを判断(はんだん)する。
食べたり、飲んだりできるものは、じっさいに口(くち)にふくんでみて、口のなかにひろがるニオイをすってみてよさ、つよさをみるんだ。食べ物をみたときから、鼻をつまんで、飲んだり食べたりしてごらん。きっと、おいしそうにかんじないとおもうな。
7:つくった香料(こうりょう)のいろいろなしけんをおこなう。
香料(こうりょう)は、いろいろなものをまぜるのでそのなかでいろいろ変化(へんか)することがあるんだ。また、製品(せいひん)の生地(きじ)のなかに香料がはいると、製品となったときに、製品そのものがかわってしまうことがあるんだ。
いちばん問題(もんだい)になるのは、ニオイがかわってしまうこと。にばんめは色(いろ)がついてしまうこと。
ねつやひかりにけっこうよわいんだ。酸(さん)やアルカリにもよわいものがあるよ。
よわくない香料をつくろうと、調香師(ちょこうし)はがんばるけど、そうすると良(よ)かったニオイからすこしずつはなれていくことがおおいんだな。ここで、がんばってちょうせんしていくといい香料ができてくるんだ。
こうやって、しけんをいろいろくりかえし、でてきたもんだいをかいけつして、香料ができあがっていくんです。
8:お客(きゃく)さんが満足(まんぞく)できるようなものができるまで4~7をくりかえす。
9:いらい内容(ないよう)にあった良(よ)い香料(こうりょう)ができたらていしゅつする。
お客(きゃく)さんは、製品(せいひん)をだすときがきまっていることがおおいから、いまかいまかとまっているはずだよ。きげんに香料をお客さんにだす(ていしゅつ)よ。
お客さんがおおくの香料がいしゃに香料をつくってくださいといういらいをだすことがあると、一つのかいしゃでだせる香料は一つとか二つということもあるんだ。
10:お客(きゃく)さんのヒョウカをきく。
お客さんは、こういう香料(こうりょう)をつくってくださいといういらいをだしたわけだから、できてきた香料がお客さんがのぞんでいるものとあっているかどうかお客さんの意見(いけん)・評価(ひょうか)をきくわけだ。ここでニオイにかんする言葉(ことば)がおたがいにせいかくにつたわっているかどうかためされるわけだよね。
お客さんは、良(よ)いものがあればここをもうすこしこうしてくださいといってくれるかもしれない。良いものがないともういらいがつづかないときもあるよ。
11:3~10をくりかえす。
12:お客(きゃく)さんがヒョウカ、シケンをしてさいようがきまる。
お客さんのほうではいちばん良(よ)い香料(こうりょう)がほしいわけだからいろいろ香料をヒョウカしたりシケンしたりしていちばんふさわしいものをきめるわけだ。
お客さんが香料をきめると、香料がいしゃに香料がさいようされましたとしらせられる。
13:原料(げんりょう)のチェックをしてショホウを工場(こうじょう)につたえる。
調香師(ちょうこうし)がつくる香料(こうりょう)はいつもわずかなりょうで、お客さんのところでさいようがきまったときにつかう香料のりょうはたくさんになるわけだから、工場でつくるときの原料がたりるかどうかきにしなければいけないよね。
調香師がつくったショホウ(処方)は、工場で生産(せいさん)できるように工場につたえます。
14:工場(こうじょう)でショホウにしたがってさくせいする。
工場では、毎日(まいにち)いろいろな香料(こうりょう)を製造(せいぞう)しています。
あたらしくきまった香料は、つくりかたがかわっていると、調香師(ちょこうし)がきて香料のつくりかたを工場の人(ひと)におしえることがあります。これを、タチアイ(立ち合い)といいます。
また、いきなりたくさんのりょうをつくることは問題(もんだい)があるので、すこしのりょうをはじめだけつくることがあります。
15:できあがったもののひんしつのチェックをおこないしゅっかする。
香料(こうりょう)をお客(きゃく)さんにとどけるためには、できあがった香料がただしくできているかどうかしらべるひつようがあります。このため、お客さんとは香料のさいようがきまったときに、この香料はこういうものですというシケン・ケンサのなかみをきめています。
そのシケン・ケンサのなかみに、工場(こうじょう)でつくった香料がただしくつくられているかどうか、工場ではお客さんにだすまえにしらべます。このことをひんしつのチェックといいます。
ひんしつのチェックがただしくあてはまっていたら、お客さんに香料をだします。このことをしゅっか(出荷)といいます。
こうして、香料(こうりょう)ができあがり、お客さんのもとにとどけられます。